マインドフルネス

マインドフルネスと認知行動療法の効果

(米国医師協会のジャーナルに発表された研究発表についての記事を要約してみました。誤字脱字や翻訳表現に誤りがあると思いますが、意図は掴んでいただけると思います。)

マインドを使ったセラピーで腰痛を和らげる

(原文:Mind-Based Therapies May Ease Lower Back Pain by Roni Caryn Rabin

6500万人のアメリカ人が慢性の腰痛で苦しんでいます。その内の多くの人たちが、理学療法や鎮痛剤の服用、そして注射など、様々なことを既に試したと述べています。

今回新しい研究調査の結果、多くの人たちが痛みの対応に瞑想を行い、それが痛みの緩和に役立っていると報告しています。

このテクニックは「マインドフルネス・ストレス低減法」と呼ばれ、瞑想、ボディスキャン、そしてヨガを通して、アウェアネス「気づくこと」を向上させ、身体の痛みまたは感情の傷みが伴う経験を「受け入れる」ことに集中したプログラムです。

これまで認知行動療法を受けた人たちが、痛みの緩和に役立っていると報告されていますが、今回の調査では、瞑想を習った腰痛を持った人たちは、認知行動療法を受けた人たちと比べて、より多くの人たちが身体の動きに改善が見られた、良くなったと述べています。瞑想をすることを当てられた人たちと、認知行動療法を受けることを当てられた人たちは、それぞれ週2時間のセッションを8週間受けました。6ヶ月後、瞑想を受けた人たちは、椅子から立ち上がること、階段を登ること、靴下を履くことが、より楽にできるようになったと報告しており、苛立つことも少なくなり、家に閉じこもったりベッドに横たわることを求めることが少なくなりました。彼らは一年後にも同じような改善の状態であることを報告していました。

これらの調査結果は、モルヒネ入りの鎮痛剤に関しての問題、薬の過量服用による死亡の増加に関しての問題が挙げられている中で、今回報告されたものです。この調査を始めた際に、11%の人たちが、痛みを和らげるためにモルヒネ入り鎮痛剤を一週間前に服用していたと述べ、この調査中にも続けて服用しても良いと許可されていたと報告しています。

ジョンホプキンズ医科大学のゴヤール医師は次のように述べいています「この新しく発表された研究は大変エキサイティングなニュースである。何故なら、このテクニックは医薬品を一切使用せず、薬から受ける副作用がないからです」。

ゴヤール医師は腰痛を持つ患者を多く診ています、そしてその中には、痛みの緩和方法の中でもう既に試すものが他には何もなくなった時に、大変落胆する患者がいるということにも触れており、「このテクニックがみんなに役立つことはないかもしれません」と述べています。腰痛を持つ人たちの中には、ヨガをすることが苦痛だと感じる人もいるからです。「しかし、自分のマインド、意識を使って自分自身に役立つことをしたいという人には、このテクニックは非常に湧活的なことと感じるでしょう」。

3月22日の米国医師協会のジャーナルに発表された研究発表の最も力強い点として、調査対象人数が342名という、20歳から70歳にわたる多数の患者を対象としたことが挙げられます。342名の患者はそれぞれ、マインドフルネス・ストレス低減法、認知行動療法、そしてこれまでと同じ対処法(鎮痛剤使用など)を続ける、というこの三つの方法に割り当てられました。

プログラム開始してから6か月後に、瞑想を行った参加者の内61%の人たちが、自分の動作に改善が見られると述べ、認知行動療法を受けた内58%が改善、これまでと同じ対処法を続けていた参加者の内44%が改善を経験したと述べています。

「痛みを厄介と感じる」という点に関しては、認知行動療法を受けた46%が改善を報告しており、瞑想を受けたグループは45%でした。これまでと同じ対処法を続けていた参加者の中では27%の人たちだけが、改善したと述べており、瞑想と認知行動療法による対処法の大きな影響がここに明確に表れています。

この調査をリードしたシアトルのヘルス・リサーチ団体のダニエル・チャーキン博士は、これらのプログラムによるベネフィットには限りがある、しかしそれは驚いたことではない、と述べいています。「万能薬ではないのです、理由が明確でない腰痛の対処に改善がみられることはあまりありません。」ある特定の対処法に効果を味わう人たちもいれば、全くその対処法が役立たないと言う人たちもいます。だからこそ多くの選択肢があることを伝えることが重要なのです。

マインドフルネス・ストレス低減法は1970年代にマサチューセッツ州の物理学者ジョン・カバット・ジン博士が、アメリカ人対象に仏教の瞑想プラクティスを用いて作られたプログラムです。目的は瞑想をしている人が自分の体験していることに対しての気づき「アウェアネス」を向上させ、その体験が「自分自身にどのように影響を及ぼしているか、体験自体にどのように対応しているか」ということに意識を向けることです。チャーキン博士は「マインドセット(思考態度)を変えて、痛みと友達になってみる、痛みが「抑圧している」と捉えない状態、そのような状態をもたらすことが目的といってもいいでしょう」と付け加えています。